飲食業界関係者にとっての常識、「魔のニッパチ」——これは、売り上げががくっと下がる「2月」と「8月」を表す業界用語。実際にキャバクラ業界では、「2月と8月は売り上げが上がらない!」と、お店もキャバ嬢も悲鳴を上げる頭痛の種なのです。

「2月」と「8月」に売り上げが下がる理由とは?

そもそも、なぜ2月と8月には、飲食店の売り上げが下がってしまうのでしょうか?

2月というのは、忘年会や新年会、クリスマスや正月など、出費のかさむ期間の直後に当たります。クリスマスのデートやプレゼントに出費して、お正月に帰省すれば交通費もかかるし、実家への手土産を買ったり、親戚のこどもにお年玉をあげなければならなかったり……。そのため、みんな「出費を抑えよう!」という意識が働くことで、余計な支出、すなわち外食を控えようとする動きがあるのだとか。

くわえて、「寒さ」も原因の一つ。じつは、人間は「暑さ」には強いが「寒さ」に弱く、気温が下がれば下がるほどエネルギーが低下し、行動意欲が下がるといわれているのです。想像してみましょう! 寒い冬の日、仕事帰りにどこかに寄るのもいいけれど、それよりもまずは自分の家に帰って、こたつや布団でぬくぬくあたたまりながら、ぼーっとダラダラ過ごしたいーーたしかに、こう考える方は多いのかも!?それでは、8月はなぜでしょう? それは、日本人にとっての夏のメインイベントともいえる「お盆休み」が関係しています。大半の人は、お盆期間の休暇を「夏休み」として取得し、実家への帰省に海外旅行と、なかなか休みを取らない日本人がはっちゃけられる唯一の機会といっても過言ではない!?——そんな「夏休みの計画」にお金をかけるため、生活面ではできるかぎり節約しようという心理が働くようです。

恐怖の「ニッパチ」が与えるキャバ嬢への影響と2つの対策

キャバ嬢という仕事は、個人の売り上げ成績がそのままお給料に直結するもの。お客さまが来なければ売り上げは上がらず、自然と給料もダウン……。残酷ですが、当たり前の仕組みです。

現実問題、店としては、仕事をしないキャストに人件費を割きたくありません。そこで、待機席で座っているだけのキャストに、「今日はラストまで勤務の予定だったけど、早上がりしてね」「今週は5日出勤の予定だけど、減らしてね」なんて声をかけることも!キャバ嬢のお給料のベースは基本的に時給制ですので、これは大きな痛手です。

最悪の場合、もともと指名の多くないキャバ嬢であれば、この閑散期をきっかけに、クビを宣告されることも!?待機席で営業努力もせずにダラダラ喋っているその姿、店長やボーイがしっかりチェックしているので、要注意ですよ!

それでは、キャバ嬢たちはどのようにして、閑散期を乗り切っているのでしょうか?実際のキャバ嬢に調査したところ、次の2つの対策が有効なようです☆

①閑散期直前の繁忙期間に、お客さまをしっかり掴んでおく!

繁忙期の後には、閑散期が訪れるーーこれは裏返せば、閑散期の前にはお客さまがたくさん訪れるということ。この繁忙期間をいかに有効活用するかが、閑散期でも売り上げを上げる秘訣です♪

たとえば、繁忙期に獲得した新規のお客さまに対しては、こまめに連絡するよう心がけましょう!閑散期に来店してもらえれば、いつもよりていねいに、こまやかに接客できるので、お客さまの好感度を上げられる確率は大♡

同時に、繁忙期のうちに自分の指名客との関係をより親密にする努力も忘れずに!「お店が暇で困ってるの、だから来てほしいな♡」と、素直にSOSを出せる心強いお客さまがいれば安心ですね♪ バタバタする繁忙期には、そのときどきの接客だけで、いっぱいいっぱいになってしまうもの。しかし、来たる閑散期を見据えて、新規のお客さまにも既存のお客さまにも、こまやかなフォローを忘れないようにしてください☆

②お客さまを呼ぶ「理由」を積極的につくる!

あるキャバ嬢は、自分の誕生日を「8月」と設定しているとのこと。なんでも、「2月は、バレンタインデーというイベントを口実にお客さまを呼べるけど、8月にはその種のイベントがないから、自分でつくっちゃった♪」のだとか。たしかに、閑散期に誕生日イベントを開くことができれば、売り上げアップに大きく期待できますね。このハングリー精神に脱帽です!

とはいえ、「誕生日」のような大きなイベントを、無理やりつくる必要はありません。たとえば、2月なら「寒いから、お店が始まる前に鍋料理を食べにいきませんか?」、8月なら「暑いから、ビアガーデンで1杯飲んでからお店に行きましょう♡」——などなど、そのときどきの「誘う理由」を見つけてみてください♪お財布の紐が固いお客さまでも、女の子からのお誘いはやっぱり嬉しいもの。「お店に誘う理由=キッカケ」がハマれば、きっと来店してくれるはず♡

だからこそ、この時期の営業メールはていねいに、なおかつこまめに、こまやかに!攻めて攻めて攻めまくるのが吉です☆ 新型コロナウィルスの影響で、キャバクラ業界全体が重い雰囲気に包まれているいま、今年の「8月」は、例年よりさらに厳しい状況が待ち受けているでしょう。しかし、ここで臆したら負け!お客さまが来なくとも、営業努力を怠らずにいれば、その努力はいつか実を結ぶもの。苦境や逆境を乗り越えるために、水面下で努力をコツコツ続けることが、「売れっ子キャバ嬢」への近道ですよ♪