18歳から30歳までの12年間、クラブやキャバクラでホステスとして勤務していたという、わきや まいさん。

現在は、「美」に関するアドバイザーやモデル、さらにSNSのお仕事をメインに活躍しています。10年以上勤めたナイトワークでの経験から、わきやさんが学んだことをお話いただきました。

——ナイトワーク業界へ入るきっかけは何だったのでしょう?

一番の理由は、短期間・短時間でお金がほしかったからです。そして、なんとなく華やかなお仕事にも憧れていました。

——実際に働いてみたら、働く前のイメージ通りの華やかな世界でしたか?

華やかではありますが、意外と地味な作業が多いとも思いました。

お店で接客をしている数時間の間だけではなくて、それまでの昼間の時間にお客さんとの連絡などを積み重ねるマメさがとても大事なのだと感じました。

——なるほど、接客以外の時間の過ごし方も大切なのですね。一週間のうち、何日くらい出勤されていたのですか?

キャバクラで働いていた時代は、月曜日から土曜日までの6日間。だいたい、夜7時から午前3時頃まで働いていて、月に30~60万ほどの収入がありました。

クラブで働いていたときには、月曜日から金曜日までの5日間です。夜8時から12時まで働いていて、50~80万ほど収入がありました。

——一般職の女性たちと比べるとかなり高収入だと思うのですが、お金を稼ぐための目的があったのでしょうか?

当時は特に目的もなく、ただただ貯金をしていました。

お金を持っていることに嬉しさがあったため、逆に減ることが怖かったです。

必要なものはお客さんに買ってもらっていたので、家賃に一番お金がかかっていたと思います。

——ナイトワークで働くようになったことで、生活に何か変化はありましたか?

自分自身では特に変化を感じていませんでしたが、周囲の人は派手になったと感じていたようです。

同年代の友人に比べて稼いでいたので、好きなところに行き、好きなものを食べる生活をしていたように思います。

——お金のことを気にせず自由なことに使えるのは、うらやましいです。それでも、やっぱり仕事面では辛いこともあったのでしょうか?

自分と他人とを常に比べてしまうことで、精神的に辛い時期がありました。

そして、毎日の気持ちの浮き沈みが激しくなってしまい、疲れてしまうこともありました。

1日お客さんが来ないと、それだけで人生どん底のような気持ちになることもよくあり、キリキリしている日が多かったように思います 。

——気分が落ち込んでしまうような日もある中、それでも頑張れた働くモチベーションとは、なんだったのですか?

毎月一回のお店のミーティングで、成績優秀者として最初に名前を発表されることが、とてもうれしかったです。私は売り上げが一位のときなどに、成績優秀者として選ばれていました。

当時、昼間の長い時間には働けなかったので、その分頑張らないと、と思っていました。

——ナイトワークという一見華やかな世界で、辛いことも抱えつつ働いていて、一番うれしかったことはどんなときでしたか?

なんといっても、素敵なママに出会えたことです。

ママには人をおもてなしすることや、楽しませることをたくさん教えてもらいました。

そんな憧れのママに褒めてもらえたことも、すごくうれしかった思い出です。

一生懸命頑張って結果が出たときのお給料日も、とてもうれしかったです。

次の月へのプレッシャーもありましたが、お給料日は頑張ったことを実感できる日でもありました。

——ナイトワークでの経験が、自分の人生においてプラスの影響を及ぼしていると感じる瞬間はありますか?

良い意味で、「人と比べない」ということです。

いくら比べても違う人にはなれないし、ならなくても良いと今では思っています。

また、自分らしく丁寧に、感謝の気持ちを込めて人と接することが大切だと思えたことです。

あとは、女性のエスコートが スマートにできるようになったことや、自分自身が常に笑顔でいること。友人に私と同じ行動を、もし男性にされたとしたら惚れてしまう、と言われたことがあります(笑)。

これは辞めてから初めてわかったことですが、あの頃もしこんな心持ちで仕事ができていたら、お客さまにもっとよろこんでもらえていただろうな、と今でも時々思います。

人に感謝ができること、人を褒められること、良いところを見つけられること、姿勢が綺麗なこと、見た目に気を遣うことの大切さを学べたことが、今でも私の人生にプラスになっていると思います。

女性にやさしくなれるようになったこともプラスだと思っています。それは、ホステス時代に変なプライドを良い意味でズタズタにされたからだと思っています。

今ではたくさん勉強させていただいた分、ちょっとやそっとのことでは動じない強さを持てたと思います。

——ホステスとしてキャバクラやクラブで働いていた経験が、今のわきやさんをつくっているのですね。今後は、どんな夢をもっているのでしょうか?

若い認知症患者のための施設を作りたいと思っています。それから保護犬を引き取ることです。小さな夢かもしれませんが、みんなが幸せに暮らせるような世の中にしたいです。

——最後に、これからナイトワークを始めようと思っている方に、ひと言メッセージをお願いします。

いろんな意見を言ってくる方もいるかもしれませんが、私は絶対に一度はナイトワークを経験した方がいいと思っています。

お金で人が変わるところも見られますし、なによりお金に換えられない人生経験になります。

大変なことも多々あると思いますが、笑顔になれる時間もその分多いと思います。