
こんにちは!ガルマネ編集部です。
日本で3本の指に入る有名私大に在学していたAさんが、なぜキャバ嬢としてデビューすることになったのか、その経緯と実際の収入にフォーカスを当てました。
「お金が稼げるということもよかったけど、それ以上に辞められない理由があった」——今回は、Aさんをキャバクラに引き留めたものの正体に迫ります!
嘘をつくのは「裏切り」?
自分のプライベートを包み隠さずに接客
Aさん:キャバクラには、ほんとうにいろいろな人がいました。それはお客さんだけじゃなくて、キャストの女の子にも、店員さんにも。
私が勤めていたキャバクラは、値段設定はさほど高くなく、そんなに敷居の高くないお店でした。お客さんは40代〜60代の人がメインで、自営業、ようは社長さんとか、お金持ちでステータスの高い人とかが多かったかな。団体客は少なくて、ひとりで来たお客さんとキャストの女の子が一対一でお酒を飲みながら話す感じです。
よく覚えているのが、私に詩を書いてくれるお客さん。40歳くらいの方で、会うと必ず自作の詩をプレゼントしてくれました。彼は文学や芸術が好きで、ほかにも私の似顔絵をよく描いてくれましたね。紙ナフキンにボールペンで描くので、たいてい穴だらけになっていたんですけど。それでも、うれしかったですよ。
私、お店で自分のことをなにも隠していなかったんです。お客さんにも、大学生だということ、大学の名前まで包み隠さず話していました。「売れるためにはどうすればいいか」なんてそんなに考えなかったけど、ほかの女の子たちやお客さんを見ていて、「嘘をつくのは、なんか違うな」と思ったんですよね。
もちろんキャバクラだから、お客さんにそのときかぎりの夢を見させてあげればいいというか、お客さんがお店に時間だけ楽しませてあげれば、嘘をついたっていいという考えかたもあるでしょう。それでも私は、そのように割り切れなかったんです。
最初のうちは指名してくれるお客さんなんてそんなにいませんでしたが、それでも指名してくれる人がいると、「私でいいのかな」なんて心配になりました。お店には、自分の話を聞いてほしくて来店するお客さんが多いです。だからこそ、指名してくれるお客さんの話をできるかぎり一所懸命聞こう、と思いました。そして、私を気に入ってわざわざお金を払って指名してくれるお客さんに自分のことを隠すのは、彼らのことを裏切っているような気がしたんです。
「夜の世界」だからこそ露わにされる人の心
ほかにも、お店に来ると必ず下ネタばっかり連発するお客さんがいました。彼は会社では役職者で、部下にあれこれと指示を出す立場。周囲からつねに気を遣われる存在です。
彼は、若い子に気楽に下ネタを言ってふざけ合いたいと思っていたのが真意です。けれど会社では、立場上それができませんでした。だから会社が終わるとこの店に来て、お金を払って女の子に下ネタを聞いてもらうんです。下ネタといっても、「ちょっとエッチな話」というレベルですよ。でも、ふだんできないこと、それでもしたいことを叶えるために、この店を頻繁に訪れる。
だれだって、「ありのままの自分を認めてほしい」という気持ちはありますよね。先ほど話した、詩を書いてくれるお客さんも同じなのかもしれませんが、みんな「人には言えない本当の自分」というのがあって、この店にいる時間は、そんな自分を笑われることなく、嫌がられることなく認めてもらえる。うまく言えませんが、そんなことを感じて、「みんな寂しいんだな」と思うようになりました。
社会のなかでは、みんな自分の本心というか、「本当の自分」というものを少 なからず隠すものですが、キャバクラでは違っていました。人間の「情」とでもいいましょうか、それは愛情だったり欲だったり憎悪だったり、心の中の闇だとか、苦しみ……。そんな人間臭い部分が、キャバクラでは露わにされていました。私は、そんな「情」を見られるキャバ嬢という仕事がおもしろかったんです。
キャバ経験者、風俗出身、メンヘラ学生……十人十色の女の子たち
キャストの女の子にもいろいろな子がいましたが、ジャンル分けされていて、たとえば水商売専門の女の子たち。キャバ嬢経験者で、彼女たちはお客さんと業界の話で盛りあがることが多かったです。「あの店の◯◯ちゃんは、じつはね」とか、そのような内輪ネタを披露してお客さんを喜ばせていました。この種の女の子は人気があって、ナンバーワンになる子はこのグループが多かったように思います。
ほかには、風俗出身の女の子。お客さんにとって、彼女たちは「頼めば寝てくれる子」という位置付けだったみたいですね。もちろんそういうことは禁止されているけど、こっそりやっていたんじゃないかな。私も、「一晩で50万円出すから、寝てくれ」などと頼まれましたことがあります。私のように大学生、あるいは専門学校生もけっこういました。「将来のためにお金を貯めたい」といった理由の子もいれば、「ハイブランドが好きだから」という理由で働く子もいます。理由は何であれ、キャバ嬢という職業がどちらにも合っているのではないでしょうか。
お金が一番の目的じゃない。キャバ嬢仕事の醍醐味とは
人間観察というのでしょうか、私はいろいろなお客さんや女の子をずっと見ているのが好きでした。私も「お金が欲しい」という気持ちはもちろんあり、それを充分叶えることのできる仕事でしたが、「キャバ嬢の仕事をして、なにがいちばん良かったか」と問われれば、私は「お金」だとは答えません。それは、いまも昔も同じ考えです。
振り返ると、キャバクラで出会った人たちは、いまの人生ではなかなか会えないような人たちばかりでした。大学入学直後からずっとカフェでバイトしていて、お客さんとのふれあいもそれなりにありましたが、キャバクラのほうが「生きている」という感じの人が多かったように思います。
今回はそんな彼女は、並み居る同僚を差し置いてのちにナンバーワンとなり、10ヶ月勤めたころ、とうとう店を辞めることを決意。彼女がどうやってナンバーワンになったのか、いわばその「キャバ嬢人生」の絶頂に、なぜ退店を決めたのか——次回はいよいよ連載最終回。女子大生キャバ嬢の「頂点」と「引き際」を追います!