
こんにちは!ガルマネ編集部です。
「おれ、負げね」で大人気となった、桐谷美玲さん主演のナイトドラマ「女帝 薫子」。このドラマの原作となったマンガを、みなさんは読んだことがあるでしょうか?
秋田県の田舎に育った孤独の女の子が、自分の母親を探しだすために単身上京し、銀座のクラブでホステスとしてデビュー。「負けず嫌い」の性格を武器にさまざまな試練に立ち向かう彼女の「生きざま」を描いた作品です。
マンガ『女帝 薫子』は、原作が倉科遼さん、作画が和気一作さんというタッグによって生みだされた作品ですが、原作者の倉科遼さんは、「水商売もの」マンガの先達的存在。キャバクラやホストクラブなど、夜の世界を舞台にそこに生きる人間たちの愛憎や悲哀を、生なましく描いた一連の作品は「ネオン劇画」と呼ばれ、このジャンルの漫画家として抜きん出た存在です。
もちろんこの倉科遼さんの作品にかかわらず、「夜の世界」を扱った作品は多く存在し、それぞれに興味深いメッセージが込められています。今回は、編集部がピックアップしたオススメの作品をご紹介します!
『女帝 SUPER QUEEN』原作:倉科遼 作画・和気一作
まずはこれまで取りあげてきた、倉科遼さん原作の作品からご紹介。芳文社「週刊漫画TIMES」にて連載され、あまりの人気から映画やテレビドラマにもなりました。
主人公の立花彩香は、熊本県でスナックを営む母とふたりで暮らす高校3年生。度重なる不幸から孤独となった彼女は、母の遺言によって実の父が生きていることを知り、自分と母を捨てた「男」という存在への復讐として、「女を武器に、男たちの上に君臨する女帝になる」ことを決意。金や権力を振りかざす男たちに決して屈せず、ホステスとしての地位を一歩一歩と築きあげ、「女帝」への道を歩んでいきます。倉科遼さんは、彩香の栄光を描いたこの『女帝 SUPER QUEEN』を第一作として『女帝 花舞』・『女帝 由奈』など、「女帝」シリーズを精力的に発表し、現在、シリーズ累計は250万部以上。冒頭で紹介した『女帝 薫子』もこのシリーズのひとつです。夜の世界で、ひとりの女の子が人生をどのように切り拓いていくのか、徹底した取材から綿密に描かれる「夜の世界ならではの事情」は、おもしろさ満載です!
『プライド』 作:一条ゆかり
この作品は「夜の世界」がメインテーマではなく、あくまで「オペラ歌手」としての史緒のサクセス・ストーリーであり、ホステスとしての史緒が悪戦苦闘する姿が描かれるのは、全体の3割ほどです。ですが、作者の一条ゆかりさんは少女漫画家には珍しく、人間のドロドロした醜さや愛憎を赤裸々に描くとともに、「夜の世界」を頻繁に扱うことでも知られています。「夜の世界」というカテゴリーには必ずしも属さない作品ではありますが、「プライド」をキーワードとして描かれる登場人物たちそれぞれの成長、「オペラ歌手」としての史緒の道、「夜の世界」を舞台に繰り広げられる女どうしの戦い、ていねいかつ繊細に描かれる登場人物それぞれの葛藤……。そのすべてが複雑に絡み合って物語が展開するこのおもしろさに、一気読みすること請け合いです!
『ママはキャバ嬢!』 原作:森山まなみ 作画:森尾理奈
テーマはずばり「子持ちキャバ嬢」。これまでに挙げた作品とは異なり、可愛らしい画風で描かれた作品です。
主人公の遥奈は、元売れっ子キャバ嬢。店長と電撃結婚、いわば「寿退社」して夜の世界を卒業。3歳の娘をもつ彼女が、夫へのある疑念からキャバ嬢への復帰を決意します。同僚にも周囲にも「夫あり・子持ち」であることを隠して働きはじめ、悪戦苦闘しながらも成長し、周囲の信頼を得て再びキャバ嬢としての道を着実に歩んでいく爽快なストーリーです。
こどもを実家の母に預けて、自分は仕事。こどもが熱を出せば飛んで帰りたいし、娘にさみしい思いをさせたくい…。「母親」としての自分と「キャバ嬢」としての自分がせめぎ合う遥奈の心は、「子持ちキャバ嬢」の永遠の悩みです。この作品は、前を向いて歩きつづけることが大切だと教えてくれます。
『お水の花道』 原作:城戸口静 作画:理花
1997年から講談社「Kiss」で連載され、テレビドラマ化に小説化、テレビゲーム化までされた不動の人気作品です。
主人公の明菜は、六本木のクラブでホステスとして働く28歳。かつてはナンバーワンだった彼女も、30歳を迎え、お客は遠のき、周囲からは疎まれ……完全に「崖っぷち」の状態に。そんな彼女が新しく就任したオーナーの石崎に出会い、鍛えられ、新たな「お水の花道」を再び駆け上がっていく物語です。
作品に貫かれているのは「女は何歳まで輝くことができるのか」という辛辣なテーマ。本作品において、主人公の明菜は自分よりも若いホステスの存在に焦りながらも、「28歳の自分」をきちんと受け入れ、「キャバ嬢」としてのあり方をあらためて見つめ直します。キャバ嬢でなくても女であれば、「若さ」を失うことを恐ろしいと感じることがあるでしょう。しかし本作で描かれる明菜の姿は、「歳をとることも悪くない」と、きっと思わせてくれるはず。読後清涼感のある、明るく前向きな気分になれる作品です。