
こんにちは! ガルマネ編集部です。
2012年、「小中高生の将来の進路に関する意識調査」において、小学生女子、中学生女子ともに「なりたい職業」として「キャバ嬢」がランクインしたことが、大きな話題を呼びました。女子高生を対象にした同様の調査でも、「キャバ嬢」がベスト10に堂々のランクイン。
かつてはキャバ嬢として働いていても、「親には秘密」というケースが一般的でしたが、最近では親も同意しているケースは珍しくありません。「暴力団と繋がりがありそうで怖い」「酔った男性客に触られそう」「家族に言えない仕事」「品がない」……といったような、さまざまなマイナスのイメージで語られていた「キャバ嬢」という仕事は、いまや一般的な職業として認知され、現代の若い女の子たちは、この仕事に悪い印象を抱いていないようです。すなわち、かつてはごく一部の限られた人種しか就くことができなかった「キャバ嬢」という特殊な職業が、いまや誰にとっても実現しうる一般的な職業になり、「キャバ嬢」への門戸がより多くの人に開放されたように感じます。
ナイトワークの魅力を世間に知らしめた伝説的キャバ嬢たち
「キャバ嬢」という仕事が、どうしてここまで魅力的な職業として認知されるようになったのか。その理由のひとつに、エンリケさんこと小川えりさん、愛沢えみりさん、門りょうさんといった、メディアにも頻繁に登場する伝説的キャバ嬢たちの活躍があります。
エンリケ/小川えり(おがわ・えり)
1987年、岐阜県生まれた小川えりさんこと、「エンリケ」さん。18歳のときにキャバ嬢として働きはじめ、22歳で愛知県名古屋市のキャバクラ「アールズカフェ」に入店しました。ユニークなキャラクターで人気を博し、なんと6年間連続でナンバーワンの座をキープ。2017年のバースデーには、2日間で1億円を超える金額を売りあげたと言われています。
そんな彼女は、2019年に引退を宣言。現在は、現役時代に設立したOGAWA株式会社代表取締役として、化粧品のプロデュースなどを手がけています。YouTuber、タレントとしても幅広く活躍中されており、著書も多数刊行されています。
えみりん/愛沢えみり(あいざわ・えみり)
1988年、神奈川県に生まれた愛沢えみりさんは、「えみりん」としての愛称でも親しまれています。彼女は18歳のとき、横浜市のキャバクラでキャバ嬢デビューを果たしました。のちに六本木、新宿へと店を変え、22歳のときに歌舞伎町の「ジェントルマンズクラブ」に移籍。23歳のとき、雑誌『小悪魔ageha』にモデルとして初登場するとすぐに人気に火がつき、翌年から同誌の専属モデルとなります。他誌やテレビにも積極的に出演し、2013年にはアパレルブランド『EmiriaWiz(エミリアウィズ)』を立ち上げました。
2019年に歌舞伎町の「フォーティーファイブ」での出勤を最後に、引退。現在はモデルとして活躍しながら、自ら立ち上げた株式会社voyage代表取締役として、アパレルブランドや美容・飲食店のプロデュース、モデルマネジメント、PR事業など多岐にわたる事業を展開しています。
門りょう(もん・りょう)
1989年、兵庫県に生まれた門りょうさん。18歳のとき、神戸市のキャバクラでキャバ嬢としてデビューしました。23歳のときに大阪北新地のクラブ「Club MON」に移籍し、ナンバーワンとなりますが、現在の源氏名の名字「門」は、この店に由来しているとか。
テレビや雑誌にも数多く出演し、一躍キャバ嬢界のカリスマとなりますが、結婚を機に2017年に引退。その後はモデルとして活躍する傍ら、書籍出版やセレクトショップの経営など、幅広く活動しています。
この3人は、いずれも現役時代に並なみならぬ努力と圧倒的な魅力で確固たる地位を築きあげました。その傍ら、積極的に他業界へと足を踏みだし、現役引退後も変わらず活躍されています。彼女たちの輝く生きざまを見て、「キャバ嬢」という仕事に興味を抱いた人も多いでしょう。
「聴く力」、「癒す力」、「明るい笑顔」……キャバ嬢に求められる能力とは?
そもそも、「キャバ嬢」とはどのような仕事なのか。単純に言えば、来店するお客さんの話を親身に聞き、楽しませるという仕事です。
疲れている人、会社で嫌なことがあった人、うれしいことがあった人、なんとなくさみしい気分の人、悩みを抱えている人、付き合いで嫌々来店した人……。客層もさまざまで、会社の社長もいれば、サラリーマンもいる。妻子のある人もいれば、長年彼女のいない人もいるし、80代の人もいれば、学生もいる。
訪れるお客さんはじつに千差万別で、彼ら一人ひとりの気持ちを解きほぐして楽しませるためには、鋭い洞察力とそれを駆使した会話力、コミュニケーション力が求められます。
もちろん、「そうなんですか」「なるほど」「そうだったんですね」といった相づちを打つだけで会話を進めるわけではなく、お客さんの求める言葉を察し、会話を発展させていく柔軟な機智が必要です。
こう聞くと、「そんな難しそうな仕事、誰でもできることじゃない……」と気後れしてしまいますが、「キャバ嬢」という仕事の奥深さでもあります。簡単ではないけれど、必ず将来に活きる経験になります。
「売れない時代」は誰にでもある! カリスマキャバ嬢に共通する、「スランプを打破する力」の秘密
たとえば、前述のエンリケさんは、東海エリアで6年間連続売り上げナンバーワンをキープしたという驚異的な経歴の持ち主です。そんな彼女も「最初の6年間はぜんぜん売れなかった」とのこと。
彼女がキャバ嬢デビューした当時は「とにかくおしとやかに、猫を被っておけばいい」と思っていたそうです。そのような接客ではまったく売れない現実に直面し、「どうしたら売れるのか」「なにが悪いのか」を真摯に考えつづけました。結果、ありのままの自分、素のキャラクターで接客することを決め、すると売り上げが自然と伸びてきたとか。
ナンバーワンをキープする秘訣は、週7日・年間360日出勤!?
2019年に刊行された小川えりさんの著作『日本一売り上げるキャバ嬢の億稼ぐ技術』(KADOKAWA刊)。『日本一売り上げるキャバ嬢の指名され続ける力』の続編。「キャバ嬢」としての13年間で得た知見から、「引退を決意した理由」までが詰め込まれ、接客業に役立つアドバイスのみならず、あらゆる仕事に活かせるヒントが満載の一冊。
エンリケさんをはじめとした多くの「元キャバ嬢」たちが、引退後もさまざまな世界で活躍を続けているのは、「自分の欠点を素直に見つめ、努力して改め、自身を成長させる力」に長けているからなのかもしれません。そして、「努力すればするだけ、結果が自らに返ってくる」というキャバ嬢の世界は、ある意味ではとても「公平」な世界だともいえます。
たとえ一流企業に就職しても、上司からの理不尽な圧迫や、非生産的な職場の人間関係、望まない深夜残業など、さまざまな不条理に直面し、苦しむこともあるでしょう。冒頭で述べた「なりたい職業ランキング」の結果は、努力が結果に直結するフェアなステージで働きたい、働くなかで「自分」を内面的にも外面的にも高め、自身の頑張りをそのまま給料に繋げたいと望む女の子が多いということの表れなのかもしれません。